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一番ガチなのは全女。 [本]

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ビューティ・ペア〜クラッシュ・ギャルズをリアルタイムで知っている世代としては、
読んだら止まらなくなる&引き込まれる本『1985年のクラッシュ・ギャルズ』

昔は女子プロもテレビで普通に放映してたから、今のようなプロレスファン目線じゃなくて
ドリフやひょうきん族、サリーちゃんやザ・ベストテンを見るのと同じ感覚で楽しんでた。

当時の記憶としては、飛鳥は初めから完成された雰囲気だったけど
千種はきゃしゃな感じからだんだん頼もしくなっていた印象がある。
自分は特にどっち派というのはなかったけど、とにかく二人はスターだった。

クラッシュ結成前の飛鳥vs長与では負けた千種が、
WWWA戦では王者組(ジャンボ堀・大森ゆかり)に破れたクラッシュが
お客さんを引きつけていたところを読んでいて、これって、モー娘。とかAKBとか、
アイドルの成長を見守るのと似てる気がした。日本人ゴコロにはまるのかな。
「プロレスって、お客さんの心をつかんだ者勝ちなんだなあ」
とあらためて感じていたら、週プロ最新号の北斗晶インタビューで
すごくうなづけることが語られてた。

「本当の勝負ってベルトを巻くとか勝つとか負けるとかじゃない。
試合が終わってカンカンカンと鳴って、勝った者が手を挙げられてるとき、
もし自分が負けたとしても寝てるほうの人間をお客さんが見てたら、
それは寝てるほうの勝ちなんだよと。
(中略)
後楽園ホールの試合の帰りに居酒屋でみんなとワイワイ、
今日の試合はああだったこうだったと話すとき、
きっとそこでその日のMVPは決まってる。
MVPになれなかったら本当の勝ちではないってことよ。」
(週刊プロレス 2012.2.1 NO.1614より)

これ、プロレスファンなら、メチャメチャ共感するよね。

千種はよく天才と言われるけど、努力家でもあるんだよねえ。
ビデオデッキが壊れるまで男子の試合をリピートして見たり、
雑誌から写真を切り抜いて技別スクラップブックを作ったり、
藤原組長や佐山、前田から技を教わったり、探求心がハンパじゃない。
タッグ戦でロープに腕を伸ばす馬場さんの手の表情まで読みとって、さすがだと感心したなあ。
腕を伸ばすことは交代したいだけじゃなくて、攻められていることを表現していて
「ああ、負けちゃう」とお客さんを引き付ける役割があるんだなと。
サッと交代するより、やっとの思いで交代して巻き返した方が、見てる方も力入るもんね。
観客を引きつける見せ方・伝え方を熱心に研究して、それを表現できるから天才なんだなあ。

飛鳥はアスリートとして完成された姿からは意外な(?)
悩んだり葛藤していた印象に残った。(ネガティブな意味ではなくて)
強いけれど面白くない、と会長に言われていたり、
芸能活動とプロレスのバランスに悩んで試合会場に行かないと言い出したり。
強く見えたスターにも弱い部分があったんだ、と人間味が感じられた。
復帰後、ヒールとして開花したのは、ダンプのような強烈なヒールと
対峙してきたことが活かされていると読んで、経験に無駄はないんだなあと。
クラッシュの親衛隊解散後、飛鳥ファンクラブに名前を付けてくださいという
お願いに応えたり、そんなやさしい面もカッコイイ。

この本読みながら、クラッシュの物語をドラマ化して欲しいと思った。
プロレスラーへの夢、他の選手の妬み、人気タッグの輝きと終焉etc.と
ドラマ的要素たっぷりだし、女子プロレスの枠を越えて、女の人間劇場ですよ。
自分が書店員だったら、女の生き方コーナー作って
オードリー・ヘプバーンやココ・シャネルの本の横に並べたい。

同じ著者のインタビュー集『1993年の女子プロレス』も去年読んだけど、これもメチャメチャ面白かった!
ジャガー、デビル、ブル、アジャ、京子etc歴代の全女レスラーや仕掛人のロッシー小川、
ライバル団体JWPの尾崎、千種の教え子・ガイアの里村、広田まで
対抗戦で盛り上がった時代を中心に、当時の心境が語られてて、こっちにもドラマがいっぱい。
全女内の闘いが厳しいから対抗戦の方がラクって選手は言ってたとか。
それだけ生存競争が激しいってことだよねえ。スゴすぎ。
「一番ガチなのは…全女なんだよ!」と、中邑真輔にナレーションして欲しい。
(本人の名語録「一番スゲエのは、プロレスなんだよ!」の口調で。)

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